「きっと失望させてしまった」「きっと怒らせてしまった」「きっと期待に沿えていないんだ」
その不安、思い込みから来ていませんか?
いつも周囲の人のために行動して、何もかもうまくこなしている有能な人だと称賛されている。でも内心では、常に自己不信や強い不安、失敗への恐怖を抱えていませんか? ハイパフォーマーとしての評価も周囲からの羨望も手にしていても、心は「自分は取るに足らない」存在だという自己批判にさいなまれている。それが、高機能不安症(HFA)の二面性です。
HFAは、いわゆる「抑制不安障害」とは異なります。仕事だけでなく、普段の生活もままならない強い不安障害とは異なり、内面の不安を抱えつつ、日常の生活は傍から見れば問題なくもしくはそれ以上にきちんとこなしているため、HFAはいまのところ不安障害とは認められていません。だからこそ、その潜在数は高いことがうかがえます。
HFAの人に共通しているのは、「満たされたい・自分には価値があると思いたい」という気持ちです。そしてその根本にあるのは、恐怖。だからこそ、他人にダメな自分を知られないように、先回りして考えすぎたり、働きすぎたり、自己批判を引き起こしてしまうのです。
例えば、ある朝、出社した同僚にいつも通りに「おはよう」と声をかけたけれど、返事がなかったとします。するとHFAの人は「きっと私は何かしてしまったんだ。嫌われてしまった、どうしよう」と不安になります。実際は、相手は考え事をしていたとか気づかなかっただけだとしても、です。そこで「どうした、何かあった?」と聞かないことで、解消されない不安はいつまでも心の中に残ったままになってしまいます。
また、HFAの人の価値基準は他者からの評価に根差しているため、常に高い課題を自らに課し、求められる基準に達していないと思い込んでしまうのです。ですが、私たちの本質的な価値は、目に見える成果や外からの評価、そして他者との比較によって決定されるものではありません 他者からの承認を追い求めるのは、ドラッグで高揚感を得ようとするのと同じで、その場はよくてもすぐに効果は切れてしまい、再度同じ高揚感を得ようとより多くの量を必要としてしまいます。
そこで心理学者であるラリター博士が、自らの経験も踏まえ、HFAにはどういう弊害があるのか、HFAの人が不安を払拭し、自分基準で本当の幸せを手に入れるための方法を、科学的研究と実践的なエクササイズやケーススタディを織り交ぜながら、具体的に紹介します。不安の原因や表れ方も個々により異なります。髄所に書かれた振り返りの質問などに答えて、自分自身を掘り下げていきましょう。
他者との軋轢を避け、本当に言いたいことを言わずに飲み込んでしまうがんばり屋さんの必読書です。
原題:High-Functioning Anxiety A 5-Step Guide to Calming the Inner Panic and Thriving
イントロダクション 高機能不安症(HFA)とは何か 本書の効用
パート1 アンラーニング――――――
ステップ1 己の思考や行動のパターンを自覚し、〝隠れた自分〟のベールをはぎとる
HFAを知る HFAと強すぎる感受性 隠れた自我 HFAと拒絶に対する恐れ 己を知る HFAの症状 HFAの人の行動の2面性 ステップ1まとめ
ステップ2 自覚したパターンを読み解き、隠れた思い込みを明らかにして、影に向き合う
前に進むために、過去に戻る 自分の2つの面を統合する 幼少期の体験の重要性 私たちのコア・ビリーフ 愛着理論 各種愛着スタイルについて マズローの欲求階層説 欲求とHFAによる完璧主義 本物の自分になるために 人に媚びた行動 本当の自分に目覚める 自己認識への道 ステップ2まとめ
パート1 ラーニング――――――
ステップ3 自分との絆を確立し、恐怖を乗り越える
行動パターンを理解する コアセルフに再接続する HFAの道具箱 ステップ3まとめ
ステップ4 自分の繊細さを受け入れ、自信を取り戻す
感受性を活かすための余地を確保する 感受性をナビゲートする HFAと適切な境界線 恐怖の思考に対するリフレーミング 感情の爆発をコントロールする 自己認識が悲しみと喪失感を明らかにする 〝立ち止まる〟ことの力 ステップ4まとめ
ステップ5 自分への思いやりを解放する
自分なりの生きるうえでの規範を書き出す 人生を豊かにするための12の力 ステップ5まとめ
最後に 自分自身との契約 謝辞
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